空飛ぶバディネリ 『しずかちゃんの遺言』18

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『しずかちゃんの遺言』18

 『しずかちゃんの遺言』 (第18回/全__回)

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18.


 私の担当する調査が無い日々、私はジャイアンたちが調査をしている様子を頭の片隅に思い描きながらドラ焼きを作っていました。
 調査に参加できないのは残念でしたが、内勤で調査結果のデータ処理をすることになっていたので、どんな成果があがったか楽しみにして待っていました。
 が、内勤に呼ばれるはずの日になってもスネ夫から連絡はありませんでした。営業も仕込みもやめてスケジュールを空けておいたのに、ただただ、一日待ちぼうけでした。
 不思議に思った私がスネ夫に連絡をとってみると、スネ夫はこんなふうに言いました。
「今回は、きみに作業を頼むほどのデータがとれなかったんだ」
 私は、開いた口がふさがりませんでした。
 スネ夫は私に無駄な一日を過ごさせただけではありません。私に仕事を出せなかったことによって、スネ夫自ら選らんだ自分のミスを取り繕うための方策があっさり破綻してしまったというのに、それを気にしたふうでもなかったのです。
 私が受けた被害のことなど、もう、忘れていたか、本当は気にもしていなかったということなのでしょうか。
 実際、補填の話にしても、その後は「まだまだ仕事がたくさんあるから」と言いながらも、カオリちゃん関連の仕事を一日分追加してもらっただけだったのでした。
 私は、スネ夫とちゃんと話をしないといけないなと思いました。

 ところが、その後の私とスネ夫のやりとりは、どうにも埒が明かないものとなりました。
 なにをどうたずねても、同じような返事が返ってくるだけでした。
「お疲れさまです。その件については社内で検討して後日連絡します。今後ともよろしくお願いします」
 何度お疲れさまと言われても、疲れをねぎらわれた気が全然しませんでした。
 私はもう一度、今回のことをいったいどう考えているのかちゃんと聞かせてねとメールを出しました。補填策でもなんでもいいですが、何をどのくらいどうしようとしているのかはっきりしてもらわないと、営業や仕入れのスケジュールもちゃんと決められないからです。
 それに対するスネ夫からの返事はこんなものでした。
「お疲れさまです。ママが中立的立場をもって詳細な経緯その他をあなたから聞き、その上で会社として厳格な判断を示すべき方針を打ち出しております。つきましては・・・」
 私には意味がよくわかりませんでした。
 スネ夫が今どう考えているかを質問したはずなのに、それへの答えが全くなく、中立とか厳格な判断とか、よくわからない漢字だらけです。
 私は隅から隅まで何度も読み返し、虫眼鏡まで使って丹念に探しましたが、どこにもスネ夫はいませんでした。
 なので、さっぱり意味がわからない、と返事を書きました。
 私は不思議でなりませんでした。
 詳細な経緯なんてのはもうお互いに確認済みのことなので、あとは、破綻してしまったスネ夫のミス取り繕い策その一を今度はどんな方法で取り繕うかくらいしか問題はないはずです。そのへんのことをスネ夫がどう考えているのか聞いて、これから先どうすればいいかを探り会おうじゃないかと思っていたのです。というより、それ以外に今話すことはないはずでした。
 メールの中にスネ夫のかけらすら見つからないのでは、私にはどうしようもないのでした。

 これに対しては返事をもらえないまま、私が参加することになっている最後の調査の日がやって来ました。
 いつもなら調査前日の夕食の時間までには調査基地に着いていたのですが、その日はやっとのことで受けたドラ焼きの注文が入っていました。私は調査当日の朝現場に直行し、夜明け前にジャイアンと落ち合って、そのまま調査作業に入りました。

 その日の晩、私はスネ夫と話をしなければと思ったのですが、私が疲れはてていたりなんだかんだりで、うまいこと機会が持てませんでした。
 翌朝スネ夫は、スネ夫ママで仕事があるから、と言って帰ってしまいました。私はもちろん、ジャイアンたちもスネ夫が帰ってしまうことをその時まで知りませんでした。
 ジャイアンは、また「逃げたな」と言いました。
 この調査期間中にスネ夫とちゃんと話すことになるだろうと思っていた私は、口をあけたまま黙って見送るしかありませんでした。

 仕事が忙しいというのは本当なのでしょうけれど、調査そのものは監督の号令などなくても普通にこなせます。こんな帰り方をするなら、わざわざ来なくてもいいようなものでした。
 が、私と話す時間が出来てしまわなかったことにスネ夫がほっとしたのは間違いないと思います。というより、話さないようにしていたのでしょう。その証拠に、私がスネ夫と約束しなおして参加した最後の調査が終わると、ほどなくして一通の手紙が届いたのでした。


                             つづく...

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