空飛ぶバディネリ 『青い巣』(第5回/全16回) by AntennaMan
FC2ブログ

空飛ぶバディネリ

♭ いろいろな読み物などを掲載します。リンクはご自由にどうぞ。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

『青い巣』(第5回/全16回) by AntennaMan

『青い巣』(第5回/全16回) by AntennaMan

<<前回              目次           次回>>
 サアの提案が功を奏して、海藻を植えたあとはプランクトンの繁殖がおさまったようだった。僕が心底関心して、すごいなさすが人魚だ、といえば、サアは、そんなの人魚じゃなくても想像つくわよ、といった。
 僕らの植えた海藻はその後順調に育ち、いくらかは収穫も出来るようになった。もちろん売るほど大量にはとれないがムム僕は半ば本気で養殖を考えていたのだけれどムム自分達で食べるくらいの量は充分だった。どれもサアの好みのものだったが、ホンダワラは僕の口には合わなかった。けれども、フロートの役目をしている空気の入った玉をプチとかみつぶすのは、結構おもしろい。
 繁った海藻の森は扇風機で軽く水をゆらしてやると元気になるらしいし、見た目にも感じがいい。水の抵抗をうけたプロペラはそれほど勢いよく回らず、程よい具合の流れを作ってくれる。
 そう、扇風機といえば、船に乗せて浮かべたCDやビデオデッキ以外の電気製品は、全て防水の工夫をして水の中にある。去年ボーナスで買った電子レンジは、うっかりスイッチを入れてしまわないよう斎藤にゆずった。あれは危険なんじゃないかと思ったのだ。

 僕はサアに、ペンギンでも飼ってみたらどうだろう、といってみたことがある。こんな呑気な生活に、ああいった愛敬のある存在もまた楽しいだろうと思ったからだ。
 ところがサアには、あれはせわしないからいやよ嘴だってとんがってるし、と断られた。僕はペンギンがせわしなく泳ぐなんてのは初耳だったが、考えてみれば空を飛ばずよちよち歩くだけの鳥がアザラシやシャチのうようよいる海で生き延びられるわけがない。水の中くらい機敏に行動しているのだろう。
 そんな話をした直後、どこからか飛び込んできたカツオドリが、巨大なハエのごとく、ものすごい勢いで部屋の中を飛び回り始めた。急旋回がきくぶん、空を飛ぶのとは比べ物にならないくらいあわただしい動きだった。捕まえようにも鋭い嘴が危険だったし、だいいち、僕の手におえるようなスピードではなかった。さんざん部屋の中を荒らし回った末、いや、実際に荒らしたのはそれを追いかけ不自然な水流を起こした僕だったのだが、それはついと空中に出て飛び去ってしまった。
 息をきらす僕の上でホバリングするサアは、ね、たいへんでしょうペンギンもあんなよ、といって笑った。
 そんな訳でペンギンのペットは諦めたけれども、田舎のお袋が、婦人会の旅行で北海道へいったんだよ、とケガニを送ってきたのでそいつを放しておいた。保冷剤とスポンジに挟まれてはるばるやってきたそれは生きていたからだ。
 おいしかったと嘘のお礼をいうのは心苦しかったがしかたがない。カブトムシの世話さえ満足にできなかった幼少時代の僕なのだ。飼うことにしたなどといったら、食べ物を粗末にするんじゃないと怒り出すに決まっている。
 彼は小さな食べ物のカスなら片付けてくれるので結構便利だし、にらめっこをしてみると、それなりに愛嬌があっておもしろい。サアもケガニケガニと呼んで喜んでいる。でも、たいていどこかにもぐり込んでいて、なかなか姿を現さないのが玉に傷だ。

<<前回              目次           次回>>
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

  1. 無料アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。