空飛ぶバディネリ 『閻魔様の殉職』(第2回/全4回) by AntennaMan

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『閻魔様の殉職』(第2回/全4回) by AntennaMan

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 さ、来ました来ました。煮込みとあぶり焼きですか。あ、おねさん、ビールあと十個追加。空いた器もってっちゃって。じゃまだから。え、なに。あっそう。おねえさん、面白いひとだねえ。ビール早くね。
 ほう、ちゃんと炭が入ってるじゃないですか。あたしゃこの炭ってのが好きでねえ。ほら、こうやって吹くと、赤いところがぶよぶよ動くでしょ。これがおもしろくってねえ。子供のころは炭火起こすたびにふうふう吹いて遊んでました。ほら、こやってふうって。
 あ、すいません。申し訳ない。灰が飛んじまった。失礼しました。このおしぼりお使いください。あたしゃどうも、こう、うっかりものでして。すいません。ほんとに。
 さ、ビールも来ました。じゃんじゃんやってください。あ、おねえさん、このタン、塩かかってるの。え、ないよ塩なんか。あ、これ。これがそうなの。入れ物、立派すぎてわからなかった。ごめんよ。
 だめですなあ。塩って思ったらすかさず青いキャップ探しちゃいましたよ。これはどこ焼きなんでしょうな。実に立派な塩壷だ。しかし、タンを食わせる店で塩壺なんて、どうも良くないですな。タン壺なんちゃって。あ、いや、失礼。
 じゃんじゃんやってください。これ、焼きすぎちゃおいしくないそうですから。あたし、ちゃんと調べてきたんですよ。あ、塩かけすぎちゃった。だめだなあ。やっぱり青いキャップの塩じゃないと、あ、そうかこの小皿にとって、指で詰まんでかければ。ほら、ばっちり。あ、スダチとネギはここにありますから。はい、これもういいですよ。どうぞどうぞ、あたしはこっちをいただきます。
 ほう、これはいい。サシミもマリネもうまかったけど、この炭火焼きはうまいですなあ。うん。うまいうまい。さ、大王様。じゃんじゃんやってください。これも、もう焼けてますよ。
 たまにはこういうのもいいもんですなあ。あたしはついこの間まであたしらの仕事は年じゅう無休があたりまえだと思ってました。ちょっくら門を締めるだけで、こうやって出かけてくることが出来るだなんて、まるで目から鱗ですよ。そうでなけりゃ、こうやってこの店におつれすることも出来なかった。それに今回は研修にしてもらったから出張扱いでしょ。なんでもいってみるもんですな。大王様だって、働きづめじゃまいっちまいますよ。
 考えてみりゃ、職務規定なんてなにもなんにも知らされてなかったわけですもんね。特に決まってなかったのかなあ。ね、こんど三途の川の渡し場に仮眠室付きの待合所でも作ってもらうよう申請しましょうか。そうすりゃどこか温泉旅館に泊まり込みの研修だって夢じゃない。あたしゃいっかい釣りってのをしてみたかったんですよ。極楽の池みててそう思ったんだけど、まさかあそこでやるわけにはいかないでしょ。
 大王様、こんど休暇とってご家族てここへこられたらどうです。そしたらこの座敷に予約いれときますよ。途中別の座敷ものぞいてみたんですがね、ここが方角といい掛け軸の絵柄といい、一番ですよ。
 あと何品くらいあったっけな。お酒と、あと網焼きの追加でもしときますか。たしか、タンのジャンボステーキも来るはずだったけど、網焼きならもっと食べますよね。
 なんか、ほんとすっかり酒も弱くなっちまいました。これっぱかしのビールであたしゃもう、すっかりいい塩梅で。いえ、あたしのことは気にしないでどんどんやってください。あ、おねえちゃん、おねえちゃん。ここお酒。えっ。熱燗と冷やどっちにします。あ、はい。じゃ、あつかん。うん。おっきいほうので十本ばか。
 え、なにこれ。タンシチュー。あそう。へえ、これ、シチューなの。
 なんか、シチューってったら具だくさんのスープみたいなのかと思ってたら違うんですねえ。へえ、こういうのか。これがタンシチューねえ。へえ。これ、日本酒じゃないほうが良かったですかね。ビールたのみますか。あ、そうですか。いいですか。いえ、あたしも日本酒で結構です。

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